Monthly Archives: September 2023

新しい多焦点眼内レンズの一つ。Vivityの勉強会

先日、新しい多焦点眼内レンズの勉強会がありました。

多焦点眼内レンズというのは、白内障の手術の際に眼内に移植するレンズです。

基本的に、

「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」というのがあります。

詳しくは、こちら⇒当院のHPの『日帰り手術』

 

Clareon® Vivity®は、アルコンというメーカーさんが開発した

新しい多焦点眼内レンズです。

当院でも取り扱いしております。

この多焦点眼内レンズは、従来の多焦点レンズに適していない患者さんにも

新たな選択肢となる可能性があると言われるレンズです。

以下は、勉強会にて頂いた資料の抜粋(一部改変)になりますが、

特徴として、

1.優れた遠方・中間および実用近方視が可能となりました。

★★距離による見え方の特徴★★

・・・Vivity🄬は、単焦点眼内レンズと同等の優れた遠方視力と、単焦点眼内レンズより快適な中間距離・実用的近方視が可能となりました。

写真資料はイメージ画像ですが、隣のグラフ資料を見ると、見る距離と視力の関係が示されています。

解読していくと・・・、

遠方視力は、単焦点眼内レンズの方がわずかに視力は良い。

Vivity🄬の遠方視力は、単焦点眼内レンズに勝る事は無いものの、

日常的には不自由がない程度の視力が出ている。

グラフの中で「-1D」と書いてあります。これは距離の逆数を度数で表しているのですが、

要するに『目の前1mぐらい先』という意味です。

「-2D」「-2.5」というのは、『目の前50㎝』『目の前40㎝』という意味になるのですが、

目の前1mから目の前40㎝ぐらいの見え方は、単焦点眼内レンズよりも

Vivity🄬の方が快適な見え方になる。・・・という事が判ります。

つまりこのグラフが示す意味は、

『運転やスポーツは、普通に見ることができる。

目の前66㎝から近い距離は、単焦点眼内レンズより見えやすいので、

パソコン作業やキッチン仕事なども不自由は少ない。

読み書きそろばんで使う目の前40㎝ぐらいの距離の見え方も快適なことが多く、

それより近い距離の場合は、老眼鏡装用の頻度が増えそう。

それでも単焦点眼内レンズより見え方の質が悪いという事はない』

という事だと思います。

日常において『目の前40㎝よりも近い距離で物を見る』事がどれだけあるかは

個々のライフスタイルによるかもしれません。

 

★★周囲の明るさによる見え方の特徴★★

・・・多焦点眼内レンズの種類によっては、明るい場所では比較的はっきり見えるのに対し、

暗い場所では見えにくいというような『見え方の差』を感じるものもあります。

これらは、瞳孔(くろめ・瞳)の大きさが変わることで生じるのですが、

Vivity🄬では、明るい場所と暗い場所の見え方の差が軽減されます。

 

2.ハロー・グレアやコントラスト感度低下の改善

★★多焦点眼内レンズの光に対するデメリットが、

単焦点眼内レンズと同レベルにまで軽減★★

・・・単焦点眼内レンズと比較して、多焦点眼内レンズでは、ハロー・グレアといった

特殊な光の拡散を感じることがあります。

その為、夜間の運転などの際に、対向車のヘッドライトの光が眩しく感じたり、

光の大きな環を感じたりして違和感がありました。

勿論、ほとんどの方が気にならない程度に慣れてくると言われますが、

中には違和感が残って、夜間運転を苦痛に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

現代社会において、自動車運転は日常生活と切り離せない事も多く、

今までの多焦点眼内レンズの弱点でもありました。

上の写真も勉強会でいただいた資料の一部ですが、

Vivity🄬の見え方と単焦点眼内レンズで、夜間風景の見え方の違いはほとんどありません。

スピードメータの見え方は、Vivity🄬の方がくっきり見えるように思います。

※因みに、今までの多焦点眼内レンズのハローグレアについては、

こちら⇒当院のHPをご参照ください。

 

★★コントラスト感度の低下がもたらす「かすみ感」が軽減します★★

・・・多焦点眼内レンズにみられるコントラスト感度の低下という弱点を

Vivity🄬の新しいテクノロジーが解消し、

ハローグレアやコントラスト感度の低下を単焦点眼内レンズと同程度まで軽減したことで、

夜間に物を見る環境が、より快適に整うようです。

下の写真を見ると、左の2つは、真ん中の光点の周りに狭い範囲、または広範囲に

雲か霧のような光の滲みがあります。

これらは、今までの多焦点眼内レンズの光のにじみのイメージ画像です。

右の2つにもわずかに光の滲みはみられますが、あまり大きく広がっていません。

これらは、単焦点眼内レンズと、青色で囲まれたVivity🄬のイメージです。

この画像からもVivity🄬は、多焦点眼内レンズであるにもかかわらず、

ハローグレアが抑えられ・コントラスト感度の低下が、あまり起きないことが判ります。

3.波面制御Technologyという最新技術

今までの2焦点眼内レンズを代表とする多焦点眼内レンズでは、

遠見と近見は快適な見え方でしたが、その間(中間距離)に見え方の落ち込み(視力低下)を

感じる事がありました。

Vivity🄬は新しいテクノロジーによって

遠方・中間から実用近方まで、途切れの無い連続した焦点を作り出すことができました。

これにより、距離による視力の落ち込み(低下)のない遠方から実用近方までの視線移動に

スムーズな対応が可能になります。

 

というような感じで勉強会で沢山の情報を教えて頂いきました。

メーカーさんのお話を聞く限り、多焦点眼内レンズの進化は止まりませんね。

 

尚、術後の見え方に関する事は、担当医やスタッフにご相談ください。

白内障以外に眼の病気がある場合や、乱視がある場合、

高齢など年齢的な各種身体的変化の有無によっては、

見え方が不安定になることもあります。

眼の具合によっては、多焦点眼内レンズをお勧めしない場合もあります。

多焦点眼内レンズについてご相談ご希望の場合は、遠慮なくお声がけください。

 

ORT385

※眼内レンズの選択は、ご本人様による担当医との相談、並びに担当医の医学的判断の上で決定されます。また、実際の手術は、いろいろな医学的根拠(エビデンス)に基づいた工夫がなされます。資料通りの見え方になるとは限りませんし、それ以上に快適な見え方になることもあります。

 

 

 

 

白内障手術…手術前の悩み 近くを見るべきか遠くを見るべきか

本日、9月20日は月に一度の白内障相談会の日でした。

「若いころは、何でも良く見えたんだけどな」

「視力2.0だったんだ」

「それが、40代になったとたん、近くが見えにくくなりだして・・・」

「老眼鏡ほど面倒くさいものは無いね。いちいち掛け外しが嫌でしょ」

「マスクのせいでレンズが曇って、遠近両用の眼鏡が見えにくい」

「近視の人は老眼にならないって聞いたのに」

沢山の方がおっしゃる台詞です。

そう・・・この悩み。この大人の悩みを感じているのは、独りではありません。

眼科で働くようになって幾年月。理解できるようになったのは、

様々な眼疾患や検査手法などの理論的・臨床的な知識。

身についたのは、各種の検査技術と贅肉。

そして、理解以上に実感できるようになったのが

老眼(老視)

老視(ろうし)は、目の障害の一つ。老眼(ろうがん)とも呼ばれるが、老視が正式名称。加齢により水晶体の弾性が失われて調節力が弱まり、近くのものに焦点を合わせることが遅くなったり、できなくなってくる。40代から60代初めに自覚されることが多いが、実際には20歳前後から調節力の減少は始まっており、日常生活で字を読む時の距離である30cm前後が見えにくくなるのが、この辺の年齢であるといえる。しかしこのような症状を自覚する年齢は個人差があり一概には言えないが、一般には40歳前後、早い人では30歳代半ばあたり、遅い人でも50歳代から60歳あたりまでに、自覚症状を訴えることがほとんどである。 Wikipediaより抜粋

要するに、大人の階段を上っていくと必ず出会う眼の変化の一つ・・・です。

Wikipediaの説明にもあるように、老視(老眼)は加齢性の調節障害というもので、

ピントを合わせる力=調節力 と言います。

この調節力は、14歳ぐらいをピークにだんだんと坂道を下っていきます。

(はっきり書くと、【減少していきます。】)

40歳前後で、調節力の低下を自覚しだします。

(はっきり書くと【手元の小さい文字が見えにくい、離すと見える、離さなきゃ見えない、眼鏡をはずせば見える、眼鏡をはずさなきゃ見えない…という自覚】です)

これが老眼と呼ばれる現象です。

そして60歳頃にこれ以上下がりようがないぐらい下がって、止まります。

(はっきり書くと、【調節力はゼロになって、これ以降、減少しようがないところまできます】)

老眼は、治せません。

その理由は、若返らないからです。

治せませんが、日常生活に不自由がない程度に工夫する事で対応します。

例えば、メガネで工夫する方法

例えば、コンタクトレンズで工夫する方法

例えば、白内障の症状があれば・・・

眼内レンズで工夫する方法

があります。

白内障の手術時に、基本的には人工眼内レンズを挿入しますが、

人工眼内レンズには

★単焦点眼内レンズ(保険診療対象)

★多焦点眼内レンズ(当院では選定療養対象)

の2種類があります。

白内障以外に眼に疾患が無い場合において、

単焦点眼内レンズを選んだ時のメリット(嬉しい点)は、

1)保険診療対象⇒自己負担は少ない

2)遠方か近方で選択した距離を見るにあたっては、割としっかり見える

上記の2点です。

デメリット(残念な点)は、

1)人生のお供に必ずと言っていいほど「眼鏡」が必要

上記の点です。

これ、どういう事だろう?と疑問に思われる方も少なくありません。

実は、単焦点眼内レンズは、その度数を自由に選択することができるのです。

選んだ度数によって、

眼鏡無しで遠方が見える、又は、近方が見える状態を生み出すことができるのです。

単焦点眼内レンズを挿入すると決めたときに、担当医と相談するのは、

「裸眼でどこが見えるのが良いか」という点です。

 

★理想として裸眼で遠方が見たい

⇒運転するのに眼鏡は邪魔・TVを見るのに眼鏡は邪魔・外出するのに眼鏡は邪魔・スポーツするのに眼鏡は邪魔

上記の場合は、単焦点眼内レンズの度数を遠方に合わせるという事になります。

なので、それ以外の距離を見る時はメガネが必要になります。

 

★理想として裸眼で近方が見たい

⇒お化粧するのに眼鏡は邪魔・読み書きするのに眼鏡は邪魔・手芸をするのに眼鏡は邪魔・マニキュア塗るのに眼鏡は邪魔

上記の場合は、単焦点眼内レンズの度数を近方に合わせるという事になります。

よって、それ以外の距離を見る時はメガネが必要になります。

 

★理想として裸眼で中間距離が見たい

⇒お料理するのに眼鏡は邪魔・パソコンするのに眼鏡は邪魔

上記の場合は、単焦点眼内レンズの度数を中間距離に合わせるという事になります。

という事は、それ以外の距離を見る時はメガネが必要になります。

 

さて、どこの距離を裸眼で見えるのが理想でしょうか?

それは、それぞれの人のライフスタイルによって異なります。

尚、この理想の見え方になるには、白内障以外に眼に疾患が無い事が条件となりますし、

乱視が軽度である事など、元々の眼の具合にもよって見え方は多少左右されます

帯に短し襷に長し・・・、確かに(否定はしません)。

さて、人生の一大事です。どうやって選んだらいいのでしょう。

選び方の一つとして、例えば

白内障術前の生活を変更しない方が慣れやすい・・・という事を考えれば、

元々近視の方は、眼鏡をかけて遠方を見ることに抵抗が少ない方が多いように思います。

実際に「眼鏡無しで近方が見えるような度数」(近視の状態を残す)を選ばれる方が多く、

術後の生活も、眼鏡をかけて車の運転やTVを鑑賞し、読み書きの際は眼鏡を外す

・・・という生活を選ばれます。

今まで「近くを見る時はメガネをはずす生活」から「近くを見る時にメガネを付ける」と

逆の行動を必要とする生活に慣れるのには、少々時間がかかることがあるようです。

 

というような感じで、今までの生活がどうだったのか・・・、

これからの生活をどうしたいのか・・・を、

当院では担当医がご本人と一緒に考えていく事にしています。

どうしたらいいのかわからない時は、ぜひ一度ご相談ください。

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※実際はいろいろな裏技を使う事もあります。いずれにせよその方の眼がどのような状態にあるかによって対応策は変わります。何はともあれ、白内障が気になる場合は眼医者さんへ。

オルソケラトロジーに関する治験のお知らせ

オルソケラトロジーレンズによる近視進行に与える影響を調査する治験の参加者を募集いたします。

今回の治験では、オルソケラトロジーによる近視進行抑制効果を確認する為、ソフトコンタクトレンズを使用する群などが設けられます。無作為に割り付けられるため、患者様の希望で選ぶことはできません。

治験参加期間:2年間

治験に参加条件:

6歳~12歳の日本人の小児

軽度~中等度の近視

★アトロピン点眼薬治療(マイオピン®)・オルソケラトロジーレンズでの近視治療を受けたことがない

◇ソフトコンタクトレンズ装用経験は参加可能◇

★決められた検査に保護者と一緒に来院できる

その他、乱視の有無や程度によっては基準を満たさない事もあります。

治験にご参加頂けるかどうかは、診察・検査の結果によります。

治験期間中の検査やコンタクトレンズ処方に関わる費用は、治験を依頼した企業が負担します。

 

詳しくは、ご来院の上、検査スタッフ・担当医へお声がけください。

 

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白内障手術説明会で話していること

診療時間内の外来では、気ぜわしくて質問しにくい・今更聞けない・・・なんてことはありませんか?

そこで、いつもの診療場所とは別の場所で、完全予約制で、ご予約くださった2~3組の方限定で、

(『で』が多い)

月に1度、完全予約制で白内障手術説明会を開催しております。

そもそも白内障とは何ですか?から始まって、白内障手術で何するのですか?

白内障手術の後どうなりますか?白内障手術の際に心がけることはありますか?

白内障術後はいつごろから運動や仕事に行けますか?

などなど、その方の生活に合わせたプライベートな質問にもお受けできますので、

ご参加の皆様に好評を頂いておりまして、実は、過去の開催の全てが満員御礼でした。

説明会がどのように進行していくかというと、

1:動画により、白内障と白内障手術に関する一般的な説明をします。

2:お一人、お一人に資料を提示しながら、その方の疑問や質問にお答えします。

必要に応じて、使用する資料を変更しながら対応します。

その方の【白内障って何?不安!知りたい!どうしたらいいの?】という思いを真摯に受け止めます。

手術前から手術後の生活において、最も重要なカギとなるのは、

眼鏡という道具を生活にどのように組み込んでいくのか・・・という点です。

ご本人様やご家族様としっかりと向き合いながら説明させて頂きます。

当院では多焦点眼内レンズ(選定療養)も取り扱っております。

多焦点眼内レンズの分野は、各社が競って開発を進めているため、

その進歩が非常に早く、実は、沢山の多焦点眼内レンズがあります。

新しい流れに乗るのは大切ですが、何も解らぬままに流されてしまってはいけません。

それぞれのレンズの特性や、各個人のライフスタイルをしっかりと考慮して、

多焦点眼内レンズのメリット・デメリットなどを説明させて頂きます。

3:ご希望に応じて、受診して頂く事が可能です。

「私の眼の白内障はどの程度ですか?手術した方が良いですか?」

これは、実際にDr.に診て頂かないと分かりませんので、

その日のうちに診療をお受け頂いて、その方の白内障の程度を確認する事が可能です。

保険証を必ずご持参ください。

再来院の必要が無く、2度手間にならずに済みます。

 

・・・という内容の説明会なので、一度にご参加いただける人数が2~3組なのは、

何も勿体ぶっているわけではなく、当院の対応可能なスタッフ数の兼ね合いとなっています。

大内眼科では、白内障専用のインターネットサイトもございます。

ご理解を深めて頂くために、実際の写真も多数使って説明させて頂いております。

是非、ご覧ください。

大内眼科白内障専門ホームページ TOP (hakunaisho-ouchi.com)

定員の人数が小さいので、予約が埋まってしまいがちですが、

毎月開催しておりますので、遠慮なくご相談ください。

 

ORT385

※白内障手術が他人事ではなくなってきた証拠に、眼内レンズの勉強をすればするほど、

「自分ならどれを入れてもらおうかな…(-ω-)」と考えています。

やっぱり、アレが良いかなぁ…。