大内眼科は白内障手術・多焦点眼内レンズで多数の実績を保有しています

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カテゴリー:医療問題の記事一覧

眼の手術は、「治す」と「綺麗に治す」で大きく違う

あらゆる診療科、手術が、そうだと思うのですが、白内障手術は特に多くの施設で行われています。そしてそこには、「病気が治れば良い」と漫然と同じ手術デザイン、同じ手技で行っているところもあれば、向上心を持って,常に新しい技術を勉強したり、他の術者の手技を取り入れようと言う意欲的な先生もいます。そんな、意欲的な白内障手術医の先生方に向けた手術セミナーを企画、開催しました。ひと口に白内障手術と言っても今は、保険診療手術から、プレミアムな自費診療手術までバリエーションが有り、生体側にも、手術の易しい眼、難しい眼など様々なケースがあります。



そんな、白内障手術のA to Zをレクチャーする会のプログラムを考え、講師の先生の手配から時間配分、関連企業様への協賛のお願いなど、一年弱をかけて作りあげ、講師としても講演してきました。土曜の午後から日曜の午後まで,東京のホテルに缶詰になって学ぶこの会、今年は、250名に設定した定員に対し、全国から熱心な先生方が260名以上、少々窮屈な中で聴き入ってくれました。



この様な、手術に対する向上心や熱意は、当然そのまま、その先生の手術の質にも反映されますが、一般の患者様には、なかなか、それを判別する術を思いつかないが現状だと思います。

それは、プロの料理人達は、本当に腕の良い板前を知っているけれど、私たちは、雑誌に載っているお店が「美味しいお店」と思い込んでしまい、本当に腕利きの料理人を、実は知らないのと似ています。料理もただ「お腹が膨れれば良い」のではなく、センスに加えて、きちっとした知識や手順で作られる、「料理人仲間が認め、安定的に美味しい料理が提供される店」で頂きたいでしょう。

 Doctor’s Teacher

 医療機関のホームページには、各施設とも様々に魅力的な事が書かれていますが、診療水準の本質的な違いは、意外に簡単に判断することが出来るものです。自分が受けようと思う手術、分野での講演や、論文の数です。もちろんマイクやペンで手術が出来るわけではありませんが、「講演=医師に教授する」為には、人並み以上の症例数、経験の積み重ねは最低限必要ですし、それも漫然と数をこなしているだけでは無く、科学的な思考を持ちながら,人に伝えられるだけの技術と知識を蓄積しなければ出来ません。少なくとも、標準を下回る技量の人が,講演を依頼されることは無いでしょう。

 Doctor’s Teacher

 皆様の地域で、治したい病気に関して一番講演数の多い先生を,一度探してみましょう。

水と医療は、ただ(無料)じゃない

 昨日、一昨日と、大変憂慮すべき話題が,新聞テレビで扱われていました。ご存じでしょうか?皮膚疾患治療薬の「ヒルドイド」という医療機関向け医薬品に「美肌効果がある」と言う評判がSNSなどで流れ、主に若年~中年の女性が美容目的で皮膚科医療機関を訪れ、処方を求めている、というのです。しかも、この様な不適切な処方に使われた医療費が年間90億円を超えている、との推測もあります。

 

 一つ目の問題は、副作用その他のデメリットを考慮することなく、医薬品を本来の目的以外のことに使うことのリスク。これは、健康と医薬品に対する認識の低さから来るものですが、これについては、今回は触れません。「薬には、作用と副作用がある」普通は誰でも知っていることです。

 

 次に二つ目の問題です。テレビやメディアは、医療とお金の問題には、あまり鋭く切り込みたがらないのですが、私がここで強調したいのは,むしろこちらの問題です。

   「日本人は、水と医療を、ただ(無料)だと思っている」。先進諸外国から逸脱した日本人の感覚を揶揄したこの言葉は、かなり以前からあります(ただほど高いものは無い,と言う言葉もありますが)。

 河川山岳の豊富な自然に恵まれた日本では、水道の蛇口を捻れば飲める水が出てきますが、海外では昔も今も、そう言うわけにいきません。海外では、水は、はじめからお金を出して買うものです。今でこそ日本でもミネラルウォーターが売られていますが、これは、どちらかというと豊かさや健康志向の副産物でしょう。

 

 同様に、医療に関しても、日本の皆さんが、医療機関窓口で支払う料金(いわゆる自己負担額)は、海外の人から見ると信じられないほど安く、月々給料から天引きされている健康保険料も、実は世界で飛び抜けて安いのです。しかも、日本の医療水準は非常に高い。これは、国民皆保険制度のお陰なのですが、このお陰で窓口支払額が安いことが、医療における,国民の金銭感覚を狂わせてしまい、本当は,一つ一つの検査や治療には、莫大な材料費、薬剤費と人件費が掛かっているのですが、その認識が希薄になってしまっています。

しかし、実際には、みなさんが病院にかかられたとき、窓口で支払う額の2~9倍の額が、同時に国のお金から出ていっていることを意識されているでしょうか。

 

 最近は「医療もサービス業」と言って、病気を治すという本来の目的以外の部分で過剰なサービスを売りにするクリニックもあるようですが、病院は、ホテルやレストランとは明確に違います。それは、ホテルやレストランでは、サービスにかかる費用を、お客さんが全て自分の財布から支払いますが、医療機関では、自己負担は、ほんの一部。残り大半は、国のお金を使ってサービスを受けているのです。ドラマやコントに出てくるチンピラが「こっちは金払ってんだぞ」の台詞も、医療機関では当てはまりません。

 

 これが分かっていれば、最初にご紹介した、「高額な美容液の代わりに、病院でヒルドイドを処方してもらおう」などという発想は、恥ずかしくて出来ないはずです。赤の他人が納めた税金や保険料から、ご自分の美容液の代金を支払ってもらっているのです。国民医療費の高騰が毎日のようにニュースになっている今、これをする人の神経とは如何なものでしょう。美容皮膚科や美容外科で、自費診療を受けてこれを手に入れるべきです。

 

 当院のブログを御覧になっている方は、みな聡明な方で、この様な事はないとは思いますが、これを機会に、いま一度、医療の大切さと、医療費の意味を考えて頂けたら幸いです。

出演番組が、無事オンエアされました

先日取材を受けた内容が、先月、オンエアされました。
放映映像はこちら→http://www.ouchi-ganka.com/publication.html

私がお話ししたこと、伝えたかったことは、ほぼ編集されること無く、そのまま正しく流して頂けたことに、安堵と感謝を、先ずは伝えたいと思います。

 

オンエア映像は、当HPで御覧頂けます。(「ホーム」のお知らせ、2017.10.04の横の「放送内容」または、上部メニューの、「論文・著書・学会発表・メディア」→メディアの一番上の「放送内容」をクリックして下さい)。

収録中の裏話はこちら→ http://www.ouchi-ganka.com/blog/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E5%8F%96%E6%9D%90%E3%82%92%E5%8F%97%E3%81%91%E3%82%8B/


ところで、最初に書きましたように、「編集されること無く、そのまま正しく」と言う点ですが、これを皆さんは、「そんなの、当たり前じゃん」と思われてはいないでしょうか。

実は、それが違っていて、特に東京を基盤とする映像メディアや雑誌媒体(つまり、全国放送や週刊誌)では、得られた素材を上手く切り貼りして、「数字の取れるもの」に様変わりしてゆきます。勿論、嘘偽りの有る内容にはなりませんが、強調する部分が恣意的に変えられているなどは珍しくなく、取材を受けている私の医師の友人も、多く経験しています。

 

 さて、私の出演した番組に話を戻しますと、テレビの取材を受けるのも、3回目となると慣れてきますので、比較的分かりやすくお話し出来ていたかと思います。私がテレビから取材を受ける事は、白内障手術、特に多焦点眼内レンズに関する情報提供が殆どですので、毎回お話しする内容は、ほぼ変わらないのですが、ロケ班のディレクターによってカメラワークが違っていたり、更にもっと違うのは、局に持ち帰った後の編集作業で、その時のスタッフのセンスや感性が、番組の味付けになって表れているのを、大変興味深く拝見しました。

 

あらゆる職業に当てはまると思いますが、同じ仕事のようでも、それぞれ、技術や力を付けてゆくに従って、自分の色を出せるようになってゆきますが、今回来て下さったKBSさんは、数字よりも、真実を脚色すること無くお伝えする、という、メディアの基本精神を見失なっていない、真面目で純粋なお仕事ぶり、改めて敬意を示したいと思います。ありがとうございました。

術者が手術を受けてみた。

日頃は、手術を執刀してばかりの私ですが、実は一昨年、手術を2度受けました。

半月板損傷と右肘関節内滑膜肥厚、いずれも、趣味のテニスと下手なゴルフが原因の膝、肘の故障です。

手術患者になって一番に望んだことは、やはり「綺麗に治して欲しい」ということと、ダウンタイムの短さ、つまり早期の復帰でした。特に,私のように仕事を持っている社会的な生産性を持つものとしては,切実な問題です。そして、このことは、我々、白内障屈折手術の世界では、ずっと前から唄われている概念で、今も益々加速しています。改めて、当たり前のようにそれを追求している自分たちの仕事が、医学の中でも、とっても貴重である事を実感した次第でした。

 一方、自分の受けた二度の手術も、術後2日で退院し、その日から自分で車の運転もして、日常生活には直ぐに復帰できましたし、仕事も、外来診療は3日目から、手術は5日目から可能でした。


写真上は、膝手術翌日の退院時、像のように脚が浮腫んでいますが、ひと月も経てば、下のように、元通りで、ふた月後には、スポーツも再開できました。


 

小切開低侵襲を目指してきた関節鏡手術の技術に感謝。これも、我々の白内障手術同様、整形外科医・研究者の方々、関連産業の努力と工夫の積み重ねのお陰です。そして、そこには、過去のデータと闊達な討論が不可欠だったことを忘れてはいけません。

ところが昨今、医学、特に臨床研究の場では、様々な縛りが増え、かつてのようなスピード感を持った研究が進め難くなっています。

 

しかし、いつの時代も病気は待ってくれません。
私が受けた、膝、肘の小切開・関節鏡手術も、過去の精力的な臨床研究があったからこそ、可能になったわけですから、もしその時、色んな人が責任逃れのために沢山のルールを作って、その研究を遅らせていたら、私は患者として許せなかったでしょう。

研究や進歩は自分達のためではない、未来のためのものです。

 

だから私は、自分の手術ビデオ、臨床データ、切除切片など、後進と教育の為なら、私に断り無く有益に使って頂きたい。なぜなら、自分は医学の進歩の恩恵を受けたのに、自分は未来の患者さんのためにはなりたく無いなんて、私には考えられないから。

 

人類と病との戦いくらいは、性善説で人類一丸となって進めたい。
これは、医師:大内としての理解ではなく、患者:大内としての祈りです。

ライブ手術って、なに?

ライブサージェリーというのがあります。

 

  
 通常の学会で手術に関する発表や解説、議論をする時は、手術ビデオの中の、ポイントとなるところ、エッセンスだけを短時間に編集したものを供覧します。講演にはそれぞれ制限時間があるので、至極当然のことです。

 この、ポイントだけで良ければ、学会参加で充分なのですが、我々の世界では、別の施設にわざわざ出向いて手術見学をする事が頻繁に行われていますし、私の手術にも、これまでに全国色んな施設の先生方が見学にいらっしゃっています。

  その理由は、自分の手術に取り入れたい手技や、新しい手術を学びたいときには、編集されたものではなく、ポイントとなる手技と手技の間、器材のセッティング、周辺スタッフの動きなど、術野以外の部分、更にはその時の様子から術者が考えていることを見て感じる事が大変重要だからです。また、実はここからがみんなの一番見たい(=勉強したい)ところなのですが、術中に思わぬ展開、術前の予想以上に困難な症例だったケースなど(要するに、ちょっと慌てるシーン)、現場で、どのような機転を利かせて対応するのか、どんな小技を利かせて状況を打開するのか(トラブルシューティング、術式のコンバートなどとも言います)、という所なんですね。



 ところが、学会などでは、やはり皆、同業者には、少しでも自分の手術を鮮やかに見せたい、という欲求がありますので(私も、多少あります)、皆が供覧するものは、上手くいった手術の上手くいったシーンだけを編集しているものが殆どです。そこで、手術をライブ中継して、全てをお見せして、お互いに勉強する、自分の手術の最初から最後まで余すところなく見せることで、皆の明日からの手術に役立てて頂く、という会が、本日行われました。私も以前、自院からの手術をライブ中継したことがありますhttp://www.ouchi-ganka.com/publication/2014.htmlが、本日は、眼科手術ライブの会で、コメンテーターと講演セッションで参加してきました。



 

 さて、このライブ手術に関して、実は今、眼科医の間でも、その是非について二つの意見が対峙しています。ここが、一番言いたいところなのですが、それについては、次の頁で述べさせて頂きます。

ライブ手術は善か悪か

さて、前頁でご説明したライブ手術ですが、眼科の手術は、ほぼ全て顕微鏡を通して行われるため、既に映像化されていますので、このようなライブ中継と、本来は相性が良いものです。実際、約20年前は、手術映像をそのまま大きな会場に中継して、術者はマイクとヘッドフォンを付けながら、開場に集まった医師達の質問に答えながら手術をする、と言う勉強会が盛んに行われていました。私も駆け出しの頃、こういった会に足繁く通い、エキスパートの先生の手術を生で見ながら、憧憬の念を抱き、勉強したものです。


 しかし今、このライブ手術に関して、推進派と反対派に真っ二つに割れているのです・・・眼科の世界は。反対派意見の基本は、患者不利益、と言うものです、つまり、「みんなに見られている」という余計なプレッシャーを感じながらの手術は、普段より上手く行かないのではないか、そしてもう一つ、今流行の個人情報、と言う理由です。一方これに対する推進派の意見は、「大学などの教育病院や、研修医の居る大きな総合病院では、常に若い先生に教えながら手術をしているので、『小さなライブ手術』はいつもやっているわけで、それは理由にならない」「個人情報も、ライブとビデオでは差違は無い。そして何より、ライブは、何一つ隠し立て出来ない環境で行う、究極の医療開示である、という点で、むしろ今の倫理感に合致する」と言うものです。



 私も、ライブ手術を発信した経験もありhttp://www.ouchi-ganka.com/publication/2014.html、さらに、日頃から患者家族には、手術を公開していることからもお分かりのようにライブ推進派です(ただし、公開手術をしていない他の病院も、マスコミの言うような「密室性」と言う事では無く、手術室の無菌環境やスタッフの動線を維持するために、非関係者を入れる想定をしていないだけです)。未来の術者育成のためにも、ライブは、ビデオでは得られない異質の教育効果があります。実際、心臓外科、血管外科など他の領域では、こんな議論はもはや無く、当たり前のようにライブ手術が行われているのです。



 20数年前、それまで静止画像と数値だけで議論されていた手術関連学会にビデオが登場し、学会の勢力図が大きく変貌しました。それまでデータだけだった議論の対象に、数字に表せないけど目で見て分かる「手技、技量」というものが入り込んできたからです。 

 そしていま眼科領域で交わされている、賛成、反対論は、それと似ていて、ぶっちゃけてしまうと、『ライブに耐えうる技量とメンタルがある術者と、そうで無い術者』の議論であって、ライブで供覧出来るか出来ないかで医師の差別化が生じると困る立場の人が反対派、というのが、私の考え方です。因みにもっと楽屋ネタを言ってしまうと、偉い(論文で高名だけど、あまり手術は得意じゃない)先生の代わりに、論文は書かないけど手術は上手な先生がコッソリ執刀する、ゴーストライターならぬ、ゴーストオペレーターという人が活躍する大学病院は、今でもあります。

 

 もちろん、手術の発展は、個々人の技量だけでなされるものでは無く、データを中心とした学問から得られるエビデンスも必須ですから、ライブに向いてる術者はライブをする、データ解析の得意な先生はそれを追求する、お互いが尊重し合って邪魔をしないことが一番大切でしょう。

出身校と所属医局

私は現在、京都府立医大の客員講師を拝命し、職歴も、同大学の関連施設を歴任してきましたが、私の出身校は、東京慈恵会医科大学です。今日は、その大学の眼科学教室 新教授の就任祝賀会にお招き頂きました。この教授は、学生時代のテニス部の先輩でもあります。



さて、多くの医師は、自身の卒業した大学の附属病院に入職し、その大学病院の医局員として診療、研究生活をスタートします。その後は、そのまま、大学病院でスタッフとして、或いは関連病院で仕事をしますが、私のように、自身の卒業大学とは違う大学病院に入職するケースも珍しくありません。

 

 理由は様々で、自分の目指す専門領域に強い大学が別にある、親の病院を継ぐために卒後は地元に戻る、また、残念なケースとしては、自身の大学が好きではなかった、或いは元々生活するつもりの無い地域の大学に入学していた、など多岐にわたります。

 私の場合は、入学時は当然、そのまま母校の附属病院で仕事をするつもりでいたのですが、折しもバブル経済の時代で、東京の住宅事情が悪化しすぎたため、仕方なく (と言っては、叱られそうですが)、京都に戻り、地元の大学病院に入職した、と言うのが、当初の理由でした。

 

 出身校にそのまま残るメリットとしては、慣れた環境で、学生時代の同僚や、先輩、後輩との繋がりの濃い中で仕事が出来る、と言うのが一番でしょう。

一方、出身大学以外の大学病院で仕事をするメリットの一つ目は、大学によって異なる文化、価値観に触れられ、自分で良いと思うものを取捨選択しながら自分の仕事のスタイルを作れること、そして二つ目は、全国学会などの「他流試合」に出たときに、所属医局以外に、もう一つの仲間が助けてくれることです。
一つ目の恩恵として、私の場合は、角膜分野で世界的な業績http://www.ouchi-ganka.com/blog/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/%E8%A7%92%E8%86%9C%E7%96%BE%E6%82%A3%E6%82%A3%E8%80%85%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AB%E3%80%81%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E5%B8%8C%E6%9C%9B/を上げた京都府立医大の研究マインドに刺激を受けられた一方、京都の大学と、東京のど真ん中に位置する大学とは、一緒に過ごした友人、働いている人達の価値観、街全体の文化は大きく異なり、学生時代の6年間をここで過ごしたことは、その後の私の診療スタイルに大きく影響していると思います。

 

しかし私の場合は、それ以上に、二つ目の恩恵を極めて大きく受けられた珍しいケースで、京都で初めての白内障手術専門医として歩き始めようとしたとき、偶然、母校、東京慈恵医大がその分野で先駆的な大学でしたので、同窓生の私には、医局の垣根を越えてあらゆる指導を下さいました。そして、今も、その大学医局の先生方と協力し合って仕事の出来ることが、この分野で先端技術を取り入れられている大きな理由ですので、大変幸せだと、この学風には感謝しています。

間違わないで下さい。一人医師体制の産婦人科医院での出産も安全です

本日の京都新聞に、妊産婦の方に著しい誤解と不安を与えかねない、気になる記事が出ていたので、医療人として一言コメントいたします。

内容は、京田辺市の産婦人科医院で起きた医療事故で医療訴訟が持ち上がっている、と言う記事なのですが、問題なのは、それと関連して、原告の母親が寄せた手記が、内容を吟味されずにそのまま掲載されている部分です。

そこには、「医師一人体制の医療機関での出産は危険である。こうした施設でのお産を認めている日本の体制は間違っている」と断定した「個人の感想文」が、大きな見出しとともに、ニュースとも取れる記事になっています。

 私の友人を含め、適切な設備とスタッフと共に、周辺機関との連携を取りながら、優れた医療を展開している産婦人科医院は、京都には沢山あります。むしろ、優れた技術を持っているからこそ、独立開業して、手術やお産を扱っているのです。

私の二人の子供も、優れた産婦人科医1名体制のクリニックで生まれました。

もしこの方の仰るとおり、小規模の産婦人科医院が日本から消えたら、不幸なお産難民がどれだけ生まれるか、地獄絵図です。一方、ロシアの医療が日本よりも安全で優れている、と言う話を、私は国際学会で一度も聴いたことがありません。因みに、ロシアの新生児死亡率は、日本の約5倍です。http://memorva.jp/ranking/unfpa/who_whs_2016_neonatal_mortality_rate.php

 

聡明な方なら既にお感じになっていると思いますが、仮に今回の事件で提訴された医院側に手技上の問題があったとしても、そこから「産婦人科医一人体制の医療機関は危険」という短絡的な記述は、実際の日本の医療水準や実績を調べることなく、きわめて感情的で極端な感想に過ぎず、「私は可哀相なんだから、何を書いても許される」という傲慢さも透けて見えます。ご自分の文章が、善良な日本の医療現場に余計な混乱を招いてしまうことを、一切考慮されていません。

 

この種の手記が、きっちりと吟味されることなく、そのまま新聞誌上に載せられてしまった背景には、定期的にセンセーショナルな記事を載せなければ出世できない、というマスコミ共通の社内事情も大いに関係しているとは言え、鵜呑みにしてしまう読者が大勢いることも、冷静に判断して欲しかったものです。
医療問題に関する記事を読むとき、皆さんは、自らの出世とスポンサーの意向が影を落とす活字よりも、医療現場にいる人間の声が正しいことを知ってください。

 

 日本は、高度に文化の発達した、品格のある先進国ですから、「可哀相な人がいる=誰か悪い人がいる」という貧しい発想を、メディアも含めて、そろそろ卒業しなければいけません。

呉越同舟?

京都大学医学部と京都府立医大、鴨川を挟んで目と鼻の先の、この二つの医学部は、創設時の人材引き抜きなどの軋轢から、歴史的にあまり関係が良好でなく、お互いに「川向こう(鴨川の向こう岸の人達)」と、よそよそしい呼び方をしていることは、医者の間では有名な話です。 でも、今の世代の医師には、そんな歴史は関係なく、実際に同じ地域で診療している京大出身の先生と府立医大出身の先生が仲良くしない、なんてことは全くありませんし、府立系の当院にも、京大病院眼科から、沢山の白内障患者さんをご紹介いただいています。しかも、当院では、週に一回、京大眼科から派遣されている先生の外来もあります。

 

そうは言っても、府内で二つの大学でありながら、今でも人的交流が乏しいのも、また事実です。

しかし、眼科だけは例外です。府立医大の先生が、京大眼科で特殊外来を担当したり、共同研究をしたりと、交流が非常に盛んなのです。

 

そして、年に一度行われる、京都眼科学会は、その顕著な例で、両大学の先生が、それぞれ得意とする分野の治療成果や研究を発表して、お互いに勉強になります。私は、京大でも府立医大でもなく、大内眼科として、当院の得意な専門分野:白内障手術、多焦点眼内レンズについての講演をしてきました。

満場一致で、受動喫煙0%

今日は、眼科診療とは、少し離れますが、健康のための大切な話題です。

昨日、厚生労働省のがん対策推進協議会(会長:門田守人)の会議で、協議会としては、受動喫煙防止の数値目標を2020年までにあらゆる場で「0%」にすることが満場一致で決まりました。

 当然です。これは、医師全員が意見の一致する、珍しい問題です。眼科領域でも、実は喫煙が、先進国の失明原因ランクの上位に急上昇している、加齢黄斑変性症のリスクファクターであることは常識です。その他、網膜の血管が詰まって視力を失う、幾つかの網膜疾患の発症にも、深く関与しています。


一昨日、厚生労働省が、「飲食店での受動喫煙ゼロ」の新目標を撤回するとの、誤った方針を固めたことが報道され、驚きましたが、今日の報告は、我々医療人として、大変、心強いニュースでした。

 

そして、この機会に、医療者を代表して厚生労働大臣に一言。

自民党の族議員の横やりに腰砕けになった塩崎君、しっかりしなさい。世の中の動向、科学・医学の根拠をよく見なさい。お金や地位の誘惑に負けるようでは、君の未来はないことを覚悟するべきです。

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