大内眼科は白内障手術・多焦点眼内レンズで多数の実績を保有しています

MENU

全国紙にて公開セカンドオピニオンDr.に選定

先日、朝日新聞・大阪本社の科学医療部の方が、白内障手術に関する意見を取材にいらっしゃいました。内容は、多焦点眼内レンズに関するものでしたので、そのメカニズムから、適応、長所・短所と様々な術後症状への対応について、約1時間お話しさせて頂きました。

大変熱心な記者の方で、また、サイエンスに関する取材には慣れてらっしゃるようでしたので、私のお話を、非常に素早く的確に飲み込んで頂けたのには、正直、驚きました。これこそ、プロ、といえるお仕事です。



本日(1/17)付け、朝日新聞朝刊の、医療相談コーナーに、出ていますので、目にされた方も多いかも知れませんが、京都、関西には、名だたる大学病院、大手総合病院がたくさん有る中、白内障・多焦点眼内レンズに関する取材先に、京都の片田舎の個人クリニックに目を付ける辺り、さすがの情報収集網だと思います。そして今回は、アウトプットも極めて正確で、多少の校閲は致しましたが、初稿でほぼ、こちらのお伝えしたいことを、掴んで居られたのも、思いの外助かりました。

 

最近の週刊誌などには、販売部数欲しさに書かれた、目を疑うばかりの医療関連記事を目にする事が多かったのですが、このように、真摯できちっとしたお仕事をされるメディア関連の方のお手伝いを出来ると、こちらも大変嬉しく思います。

眼の手術は、「治す」と「綺麗に治す」で大きく違う

あらゆる診療科、手術が、そうだと思うのですが、白内障手術は特に多くの施設で行われています。そしてそこには、「病気が治れば良い」と漫然と同じ手術デザイン、同じ手技で行っているところもあれば、向上心を持って,常に新しい技術を勉強したり、他の術者の手技を取り入れようと言う意欲的な先生もいます。そんな、意欲的な白内障手術医の先生方に向けた手術セミナーを企画、開催しました。ひと口に白内障手術と言っても今は、保険診療手術から、プレミアムな自費診療手術までバリエーションが有り、生体側にも、手術の易しい眼、難しい眼など様々なケースがあります。



そんな、白内障手術のA to Zをレクチャーする会のプログラムを考え、講師の先生の手配から時間配分、関連企業様への協賛のお願いなど、一年弱をかけて作りあげ、講師としても講演してきました。土曜の午後から日曜の午後まで,東京のホテルに缶詰になって学ぶこの会、今年は、250名に設定した定員に対し、全国から熱心な先生方が260名以上、少々窮屈な中で聴き入ってくれました。



この様な、手術に対する向上心や熱意は、当然そのまま、その先生の手術の質にも反映されますが、一般の患者様には、なかなか、それを判別する術を思いつかないが現状だと思います。

それは、プロの料理人達は、本当に腕の良い板前を知っているけれど、私たちは、雑誌に載っているお店が「美味しいお店」と思い込んでしまい、本当に腕利きの料理人を、実は知らないのと似ています。料理もただ「お腹が膨れれば良い」のではなく、センスに加えて、きちっとした知識や手順で作られる、「料理人仲間が認め、安定的に美味しい料理が提供される店」で頂きたいでしょう。

 Doctor’s Teacher

 医療機関のホームページには、各施設とも様々に魅力的な事が書かれていますが、診療水準の本質的な違いは、意外に簡単に判断することが出来るものです。自分が受けようと思う手術、分野での講演や、論文の数です。もちろんマイクやペンで手術が出来るわけではありませんが、「講演=医師に教授する」為には、人並み以上の症例数、経験の積み重ねは最低限必要ですし、それも漫然と数をこなしているだけでは無く、科学的な思考を持ちながら,人に伝えられるだけの技術と知識を蓄積しなければ出来ません。少なくとも、標準を下回る技量の人が,講演を依頼されることは無いでしょう。

 Doctor’s Teacher

 皆様の地域で、治したい病気に関して一番講演数の多い先生を,一度探してみましょう。

水と医療は、ただ(無料)じゃない

 昨日、一昨日と、大変憂慮すべき話題が,新聞テレビで扱われていました。ご存じでしょうか?皮膚疾患治療薬の「ヒルドイド」という医療機関向け医薬品に「美肌効果がある」と言う評判がSNSなどで流れ、主に若年~中年の女性が美容目的で皮膚科医療機関を訪れ、処方を求めている、というのです。しかも、この様な不適切な処方に使われた医療費が年間90億円を超えている、との推測もあります。

 

 一つ目の問題は、副作用その他のデメリットを考慮することなく、医薬品を本来の目的以外のことに使うことのリスク。これは、健康と医薬品に対する認識の低さから来るものですが、これについては、今回は触れません。「薬には、作用と副作用がある」普通は誰でも知っていることです。

 

 次に二つ目の問題です。テレビやメディアは、医療とお金の問題には、あまり鋭く切り込みたがらないのですが、私がここで強調したいのは,むしろこちらの問題です。

   「日本人は、水と医療を、ただ(無料)だと思っている」。先進諸外国から逸脱した日本人の感覚を揶揄したこの言葉は、かなり以前からあります(ただほど高いものは無い,と言う言葉もありますが)。

 河川山岳の豊富な自然に恵まれた日本では、水道の蛇口を捻れば飲める水が出てきますが、海外では昔も今も、そう言うわけにいきません。海外では、水は、はじめからお金を出して買うものです。今でこそ日本でもミネラルウォーターが売られていますが、これは、どちらかというと豊かさや健康志向の副産物でしょう。

 

 同様に、医療に関しても、日本の皆さんが、医療機関窓口で支払う料金(いわゆる自己負担額)は、海外の人から見ると信じられないほど安く、月々給料から天引きされている健康保険料も、実は世界で飛び抜けて安いのです。しかも、日本の医療水準は非常に高い。これは、国民皆保険制度のお陰なのですが、このお陰で窓口支払額が安いことが、医療における,国民の金銭感覚を狂わせてしまい、本当は,一つ一つの検査や治療には、莫大な材料費、薬剤費と人件費が掛かっているのですが、その認識が希薄になってしまっています。

しかし、実際には、みなさんが病院にかかられたとき、窓口で支払う額の2~9倍の額が、同時に国のお金から出ていっていることを意識されているでしょうか。

 

 最近は「医療もサービス業」と言って、病気を治すという本来の目的以外の部分で過剰なサービスを売りにするクリニックもあるようですが、病院は、ホテルやレストランとは明確に違います。それは、ホテルやレストランでは、サービスにかかる費用を、お客さんが全て自分の財布から支払いますが、医療機関では、自己負担は、ほんの一部。残り大半は、国のお金を使ってサービスを受けているのです。ドラマやコントに出てくるチンピラが「こっちは金払ってんだぞ」の台詞も、医療機関では当てはまりません。

 

 これが分かっていれば、最初にご紹介した、「高額な美容液の代わりに、病院でヒルドイドを処方してもらおう」などという発想は、恥ずかしくて出来ないはずです。赤の他人が納めた税金や保険料から、ご自分の美容液の代金を支払ってもらっているのです。国民医療費の高騰が毎日のようにニュースになっている今、これをする人の神経とは如何なものでしょう。美容皮膚科や美容外科で、自費診療を受けてこれを手に入れるべきです。

 

 当院のブログを御覧になっている方は、みな聡明な方で、この様な事はないとは思いますが、これを機会に、いま一度、医療の大切さと、医療費の意味を考えて頂けたら幸いです。

多焦点眼内レンズの情報サイトが立ち上がりました

私が理事を務めます「日本白内障屈折手術学会」では、現在、一般の方向けwebページの制作を進めています。私も、その委員を担当していますが、この度、多焦点眼内レンズに関するページが完成し、アップされました。http://jscrs-multifocal.org/

 

これまでの白内障手術は、単焦点眼内レンズを使った手術が主流でしたので、手術後は、遠くか近くか、どちらかには眼鏡をかけなければいけないケースが殆どでした。けれど、遠くにも近くにもピントの合う、多焦点眼内レンズが登場し、既に10年以上が経過しています。この、多焦点眼内レンズを使った白内障手術、まだ、多くの患者さんに充分に周知されているとは言えない状況です。私も、テレビ取材などにご協力させて戴き、その啓蒙に努めていますが、http://www.ouchi-ganka.com/blog/%E7%99%BD%E5%86%85%E9%9A%9C/%E5%87%BA%E6%BC%94%E7%95%AA%E7%B5%84%E3%81%8C%E3%80%81%E7%84%A1%E4%BA%8B%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F/

白内障手術の専門家の集団「日本白内障屈折手術学会:通称JSCRS」では、一般の患者様向けに、webサイトを作りました。

 私たち専門家でアイデアを出し合って、充分に吟味して作ったもので、間違いのない、安心した情報源として、自信を持ってお勧めが出来ます。非常に分かりやすく、また豊富な情報が提供されていますので、特に、白内障手術をお考えの方は、是非御覧になってから、手術をお決めになることをお勧めします。非常に良い内容になっています。

子供の近視進行を抑える

老眼矯正白内障手術のお話しは、これまでに何度かしてきましたが、http://www.ouchi-ganka.com/blog/%E7%99%BD%E5%86%85%E9%9A%9C/%E5%87%BA%E6%BC%94%E7%95%AA%E7%B5%84%E3%81%8C%E3%80%81%E7%84%A1%E4%BA%8B%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F/今回は子供の近眼の話です。

 

先日の臨床眼科学会の夜、次世代白内障術者の小さな研究会に出席しました。

大きな学会では,様々に異なる専門分野の人が,全国から一カ所に集まり、異業種交流が出来るのも魅力ですが、夜には、同じ専門性を持つものだけで集まって、より深く突っ込んだ討論をする、会食を兼ねた研究会も沢山開催されます。

 

その中で拝聴できた、子供の近視進行抑制の大きなヒントになる可能性がある研究:慶應義塾大学 鳥居秀成先生のお話しが大変興味深いものでした。

 

皆さんは、近視の予防、と聞くと,どんなことを思い浮かべますか?暗いところで本を読まない,本を顔に近づけて読まない、近くを見た後は,遠くを見せて眼を休ませる、或いは、サプリメント?それとも、遺伝だから仕方が無い?どれも可能性はありますね。

 

色々な可能性がある中、そのお話で取り上げられていたことは、屋外活動との関係です。最近少し注目されているこの話題、ご存じでしょうか?「お外で沢山遊んでいる子供の方が近眼になりにくい」と言うことなんです。「そりゃ、家でゲームやスマホで遊んでいるより健康的だよね」と,なんとなくイメージはし易いと思いますが、その理由を科学されたのが、先程の鳥居先生。「親が近眼だから諦めよう」は、ちょっと早い!何とか抵抗できるかも知れません。

 

実際、海外の研究では1日2時間以上、屋外で過ごす子どもは近視の割合が低いと言うデータは出ていますが、同大学グループの調査では、1995年の日本の子供達の屋外活動時間は,一日平均37分で、近視が少なかった1955年は1日2時間以上だったそうなのです。

 

じゃあ、なぜ,外で沢山遊ぶと近視になりにくいか?ここに食い込んだのが鳥居先生。太陽光には、屋内照明光には含まれない、ある波長の光「バイオレット光(紫外線に近い波長360~400nmの可視光)」が含まれていて、これが、近視の進行(=眼球の奥行きの伸展)を抑えてくれる可能性のあることが、先の研究で分かったのです。

 

この研究には,大変な苦労と時間が掛かっていて、はじめにヒヨコを使って実験をするのですが、折しも鳥インフルエンザが話題だった時期、ヒヨコの入手から困難だったこと、実験場所も大学から往復2時間近くかかる場所であったこと、ヒヨコを用いた実験では再現性のあるデータを得られるようになるまでには相当な時間と人手と費用がかかったこと、など色々大変だったようです。

 

そして、実際の14-15才前後の日本人の子供でも、バイオレット光を透過し易いコンタクトレンズを使う子供と、透過しにくいコンタクトレンズを使う子供では、やはり眼球の奥行きの伸び方(近視の進行)が違っていたことも分かりました。

 

 文部科学省によると、裸眼視力1.0未満の小学生は約3割、中学生は約5割。これは、西洋諸国と比べると、高い数字です。

「子供が近眼にならないためには」「子供の近視進行を何とか抑えたい」こう望む親御様達は多いと思います。なかなか、決定打はありませんが、先ずは、簡単に出来てリスクの無い方法:お外で沢山遊ばせる、から実行してみては如何でしょうか。

出演番組が、無事オンエアされました

先日取材を受けた内容が、先月、オンエアされました。
放映映像はこちら→http://www.ouchi-ganka.com/publication.html

私がお話ししたこと、伝えたかったことは、ほぼ編集されること無く、そのまま正しく流して頂けたことに、安堵と感謝を、先ずは伝えたいと思います。

 

オンエア映像は、当HPで御覧頂けます。(「ホーム」のお知らせ、2017.10.04の横の「放送内容」または、上部メニューの、「論文・著書・学会発表・メディア」→メディアの一番上の「放送内容」をクリックして下さい)。

収録中の裏話はこちら→ http://www.ouchi-ganka.com/blog/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E5%8F%96%E6%9D%90%E3%82%92%E5%8F%97%E3%81%91%E3%82%8B/


ところで、最初に書きましたように、「編集されること無く、そのまま正しく」と言う点ですが、これを皆さんは、「そんなの、当たり前じゃん」と思われてはいないでしょうか。

実は、それが違っていて、特に東京を基盤とする映像メディアや雑誌媒体(つまり、全国放送や週刊誌)では、得られた素材を上手く切り貼りして、「数字の取れるもの」に様変わりしてゆきます。勿論、嘘偽りの有る内容にはなりませんが、強調する部分が恣意的に変えられているなどは珍しくなく、取材を受けている私の医師の友人も、多く経験しています。

 

 さて、私の出演した番組に話を戻しますと、テレビの取材を受けるのも、3回目となると慣れてきますので、比較的分かりやすくお話し出来ていたかと思います。私がテレビから取材を受ける事は、白内障手術、特に多焦点眼内レンズに関する情報提供が殆どですので、毎回お話しする内容は、ほぼ変わらないのですが、ロケ班のディレクターによってカメラワークが違っていたり、更にもっと違うのは、局に持ち帰った後の編集作業で、その時のスタッフのセンスや感性が、番組の味付けになって表れているのを、大変興味深く拝見しました。

 

あらゆる職業に当てはまると思いますが、同じ仕事のようでも、それぞれ、技術や力を付けてゆくに従って、自分の色を出せるようになってゆきますが、今回来て下さったKBSさんは、数字よりも、真実を脚色すること無くお伝えする、という、メディアの基本精神を見失なっていない、真面目で純粋なお仕事ぶり、改めて敬意を示したいと思います。ありがとうございました。

テレビ取材を受ける

昨日、多焦点眼内レンズの普及に関する、テレビ取材を受けました。詳しい内容は、913日のオンエアのあと、ご紹介することとして、今日は、この様なテレビ映像の制作現場を少しお話ししたいと思います。今回は「医者の舞台裏」ではなく「テレビの舞台裏」です。



さて、色んな場所で情報の質が問われる昨今、特に医療に関する情報を流すときは、メディアも、表現の細かい部分まで、非常に慎重に検討されます。同じテレビの世界でも、医療情報では無く、事件や時事ネタとして医療現場での出来事を流す、いわゆるワイドショー的な番組では、時に視聴率第一主義と思われる、我々が首をかしげたくなるような内容を、刺激的な表現で流されますが、それらとは両極端で、興味深く思われました。恐らく、制作主任の立場や、性格 (慎重で良心的な人、イケイケ・ドンドンの人、等々)が大きく関係していると思います。

まず、今回話題にする内容について、基本的な事柄を、医師である私から、スタッフの方に向けて、説明をします。事前に打ち合わせにいらっしゃった時にもアウトラインをご説明し、メールのやりとりもしているのですが、現場のディレクターや、インタビューをして下さるレポーターの方とは、収録日が初対面ですので、もう一度、日頃講演で使っているスライドなどを用いてご説明した上で、いよいよインタビューと撮影に入ります。



途中、表現や言葉の使い回しで気になる点があったときは、一旦止めて、再度確認をしてから、続きの撮影をするのですが、この時、映像の連続性を維持するために、「止める前の手の位置はどうだったっけ?」「眼の模型、どちらの手に持ってましたっけ?」など、前の映像を見て、同じ形からスタートしなければいけません。

また、インタビュー映像でよく見られる、レポーターさんの頷く姿がアップになるシーンなどは、実は、別に撮影しているのです。一度、通しでインタビューを撮った後、今度は、レポーターさんだけにカメラを向けて、いろんな内容を想定した「うなずき」のシーンを撮影。これらと、さらに説明の図や写真を間に挟む切り貼り作業(いわゆる編集作業)を、局に戻ったスタッフさん達が大慌てで進めてゆく、という事のようです。

 

さて、この様にして出来上がる、番組の一場面。ほんの10分ほどのシーンに、セッティングなど含め、約2時間のお仕事になります。皆様、お疲れ様でした。

放映は、913日の予定です。詳しい時間帯が決まれば、またご報告しますが、その日に、大事件や芸能人の大スキャンダルが起らないことをお祈りしましょう。

術者が手術を受けてみた。

日頃は、手術を執刀してばかりの私ですが、実は一昨年、手術を2度受けました。

半月板損傷と右肘関節内滑膜肥厚、いずれも、趣味のテニスと下手なゴルフが原因の膝、肘の故障です。

手術患者になって一番に望んだことは、やはり「綺麗に治して欲しい」ということと、ダウンタイムの短さ、つまり早期の復帰でした。特に,私のように仕事を持っている社会的な生産性を持つものとしては,切実な問題です。そして、このことは、我々、白内障屈折手術の世界では、ずっと前から唄われている概念で、今も益々加速しています。改めて、当たり前のようにそれを追求している自分たちの仕事が、医学の中でも、とっても貴重である事を実感した次第でした。

 一方、自分の受けた二度の手術も、術後2日で退院し、その日から自分で車の運転もして、日常生活には直ぐに復帰できましたし、仕事も、外来診療は3日目から、手術は5日目から可能でした。


写真上は、膝手術翌日の退院時、像のように脚が浮腫んでいますが、ひと月も経てば、下のように、元通りで、ふた月後には、スポーツも再開できました。


 

小切開低侵襲を目指してきた関節鏡手術の技術に感謝。これも、我々の白内障手術同様、整形外科医・研究者の方々、関連産業の努力と工夫の積み重ねのお陰です。そして、そこには、過去のデータと闊達な討論が不可欠だったことを忘れてはいけません。

ところが昨今、医学、特に臨床研究の場では、様々な縛りが増え、かつてのようなスピード感を持った研究が進め難くなっています。

 

しかし、いつの時代も病気は待ってくれません。
私が受けた、膝、肘の小切開・関節鏡手術も、過去の精力的な臨床研究があったからこそ、可能になったわけですから、もしその時、色んな人が責任逃れのために沢山のルールを作って、その研究を遅らせていたら、私は患者として許せなかったでしょう。

研究や進歩は自分達のためではない、未来のためのものです。

 

だから私は、自分の手術ビデオ、臨床データ、切除切片など、後進と教育の為なら、私に断り無く有益に使って頂きたい。なぜなら、自分は医学の進歩の恩恵を受けたのに、自分は未来の患者さんのためにはなりたく無いなんて、私には考えられないから。

 

人類と病との戦いくらいは、性善説で人類一丸となって進めたい。
これは、医師:大内としての理解ではなく、患者:大内としての祈りです。

ライブ手術って、なに?

ライブサージェリーというのがあります。

 

  
 通常の学会で手術に関する発表や解説、議論をする時は、手術ビデオの中の、ポイントとなるところ、エッセンスだけを短時間に編集したものを供覧します。講演にはそれぞれ制限時間があるので、至極当然のことです。

 この、ポイントだけで良ければ、学会参加で充分なのですが、我々の世界では、別の施設にわざわざ出向いて手術見学をする事が頻繁に行われていますし、私の手術にも、これまでに全国色んな施設の先生方が見学にいらっしゃっています。

  その理由は、自分の手術に取り入れたい手技や、新しい手術を学びたいときには、編集されたものではなく、ポイントとなる手技と手技の間、器材のセッティング、周辺スタッフの動きなど、術野以外の部分、更にはその時の様子から術者が考えていることを見て感じる事が大変重要だからです。また、実はここからがみんなの一番見たい(=勉強したい)ところなのですが、術中に思わぬ展開、術前の予想以上に困難な症例だったケースなど(要するに、ちょっと慌てるシーン)、現場で、どのような機転を利かせて対応するのか、どんな小技を利かせて状況を打開するのか(トラブルシューティング、術式のコンバートなどとも言います)、という所なんですね。



 ところが、学会などでは、やはり皆、同業者には、少しでも自分の手術を鮮やかに見せたい、という欲求がありますので(私も、多少あります)、皆が供覧するものは、上手くいった手術の上手くいったシーンだけを編集しているものが殆どです。そこで、手術をライブ中継して、全てをお見せして、お互いに勉強する、自分の手術の最初から最後まで余すところなく見せることで、皆の明日からの手術に役立てて頂く、という会が、本日行われました。私も以前、自院からの手術をライブ中継したことがありますhttp://www.ouchi-ganka.com/publication/2014.htmlが、本日は、眼科手術ライブの会で、コメンテーターと講演セッションで参加してきました。



 

 さて、このライブ手術に関して、実は今、眼科医の間でも、その是非について二つの意見が対峙しています。ここが、一番言いたいところなのですが、それについては、次の頁で述べさせて頂きます。

ライブ手術は善か悪か

さて、前頁でご説明したライブ手術ですが、眼科の手術は、ほぼ全て顕微鏡を通して行われるため、既に映像化されていますので、このようなライブ中継と、本来は相性が良いものです。実際、約20年前は、手術映像をそのまま大きな会場に中継して、術者はマイクとヘッドフォンを付けながら、開場に集まった医師達の質問に答えながら手術をする、と言う勉強会が盛んに行われていました。私も駆け出しの頃、こういった会に足繁く通い、エキスパートの先生の手術を生で見ながら、憧憬の念を抱き、勉強したものです。


 しかし今、このライブ手術に関して、推進派と反対派に真っ二つに割れているのです・・・眼科の世界は。反対派意見の基本は、患者不利益、と言うものです、つまり、「みんなに見られている」という余計なプレッシャーを感じながらの手術は、普段より上手く行かないのではないか、そしてもう一つ、今流行の個人情報、と言う理由です。一方これに対する推進派の意見は、「大学などの教育病院や、研修医の居る大きな総合病院では、常に若い先生に教えながら手術をしているので、『小さなライブ手術』はいつもやっているわけで、それは理由にならない」「個人情報も、ライブとビデオでは差違は無い。そして何より、ライブは、何一つ隠し立て出来ない環境で行う、究極の医療開示である、という点で、むしろ今の倫理感に合致する」と言うものです。



 私も、ライブ手術を発信した経験もありhttp://www.ouchi-ganka.com/publication/2014.html、さらに、日頃から患者家族には、手術を公開していることからもお分かりのようにライブ推進派です(ただし、公開手術をしていない他の病院も、マスコミの言うような「密室性」と言う事では無く、手術室の無菌環境やスタッフの動線を維持するために、非関係者を入れる想定をしていないだけです)。未来の術者育成のためにも、ライブは、ビデオでは得られない異質の教育効果があります。実際、心臓外科、血管外科など他の領域では、こんな議論はもはや無く、当たり前のようにライブ手術が行われているのです。



 20数年前、それまで静止画像と数値だけで議論されていた手術関連学会にビデオが登場し、学会の勢力図が大きく変貌しました。それまでデータだけだった議論の対象に、数字に表せないけど目で見て分かる「手技、技量」というものが入り込んできたからです。 

 そしていま眼科領域で交わされている、賛成、反対論は、それと似ていて、ぶっちゃけてしまうと、『ライブに耐えうる技量とメンタルがある術者と、そうで無い術者』の議論であって、ライブで供覧出来るか出来ないかで医師の差別化が生じると困る立場の人が反対派、というのが、私の考え方です。因みにもっと楽屋ネタを言ってしまうと、偉い(論文で高名だけど、あまり手術は得意じゃない)先生の代わりに、論文は書かないけど手術は上手な先生がコッソリ執刀する、ゴーストライターならぬ、ゴーストオペレーターという人が活躍する大学病院は、今でもあります。

 

 もちろん、手術の発展は、個々人の技量だけでなされるものでは無く、データを中心とした学問から得られるエビデンスも必須ですから、ライブに向いてる術者はライブをする、データ解析の得意な先生はそれを追求する、お互いが尊重し合って邪魔をしないことが一番大切でしょう。

Page top